原状回復ガイドラインの耐用年数に関して

【原状回復ガイドラインをわかりやすく説明】入居者のための解説

  • よく不動産会社が言う”原状回復ガイドライン”ってなに!?

 

  • ”原状回復ガイドライン”の全部見るの疲れるから知ってて得する部分だけ教えて!

 

今回は”原状回復ガイドライン”について入居者側のためになるように絞った解説をしていければと思います!!

 

【原状回復ガイドライン①】全国共通部分!国で定められているルール

”ガイドライン”と聞くと、なんか「一応基準として定めているようなルールでしょ?」と思われがちですよね。

しかし、実は原状回復には法律が2つあります!

 

原状回復範囲の根本の考え方の法律

どんな法律かと言いますと、1つ目が

第五百九十八条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。

いつも思うのですが、条文そのままだと、何がなんだか分からなくて、なんか吐き気がしてきますよね笑

以上の条文で書いている事は、『賃貸物件を借りること』=『原状回復しなければならない義務を負います!』ということが書かれています。

もう少し読み解くと、「原状」というのは原則、経年劣化(時間が経てば勝手に古くなっていくという事)や通常使用(普通に生活をしている分の使用)によって、汚くなった事を加味した場合の「原状」になります。

 

例えば、20年同じ新築賃貸物件に住んでいると、もちろん壁紙は汚くなりますし、床の木材なども湿気などによって、どんどん朽ちていきます。

これを退去時に、「入居した時と同じ新品状態にすべて戻せ!」といってもそれは通用しないということです。

 

では、大きなソファーをリビングにおいていました。20年間住んでいたら床との接触部分が大きく凹んだり、傷ついたりしました。

これは通常使用と思われますがどうなんでしょうか?

おそらく、多くの場合は原状回復費用を取られます。なぜなら、「善管注意義務」(「善良な管理者の注意義務」の略)というのが存在して、入居者はその物件を通常期待される注意義務の範囲で利用する義務があります。

 

大きな思いソファーをリビングに置くのであれば、床への傷やヘコみも十分考えて、カーペットを敷くなりするのが普通でしょ?ということです。

なんとなくお分かりでしょうか。

 

一言でまとめると、不動産の賃貸契約を締結したと同時に、原状回復義務が発生しますが、「原状」以上にきれいに戻したり修復する必要は借り主にはありません!ということですね。

 

入居者を守るための法律

もう1つが以下になります。

第十条  民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

どういうことかと言うと、ガイドラインはあれど、「契約自由の原則」がありますので契約書の内容は自由に借り主と貸し主で決めることが出来ます。

つまり、契約書に「退去時きれいであろうが、無かろうが一律5万円のクリーニング費用を払ってもらいます」と書いていれば通常使用をしていたとしてもクリーニング費用を払わなければなりません。

 

しかし、以上の法律で「あまりにも入居者が可愛そうな範囲に関しては、その内容は無効にします」と定められています。

 

例えば、「入居者は退去時に壁紙をどんな状態であっても、必ず壁紙の全面張り替えをしなければならない」とかです。(オフィス事務所とかの場合だとOKでになったりしますが、、、、)

 

これ、あんまりにもかわいそうですよね。

 

あんまり、契約書を読まないでハンコを押してしまったとしても、以上のようなあまりにも入居者が可愛そうな規定(公の秩序に関しない規定)は無効にします!というわけです。

 

 

【原状回復ガイドライン②】東京と大阪で大きく違う!?地域で定められているルール

原状回復ガイドラインは地域によってそれぞれ若干違ったのルールを定めていることが多いです。

とはいっても、ほとんどベースは同じ考えなのでそんなに気にしなくても良いかもしれません。

とりあえず、東京と大阪は不動産賃貸の聖地ですので少し特殊な部分のみ抜粋して書いていきます。

 

東京編:不動産業界ではよく聞く「賃貸住宅紛争防止条例」

これはいわゆる「東京ルール」というやつです。

一般の人は聞き慣れない言葉かもしれませんが、、、

ルールが大きく変わるわけではありませんが、以下4点に関しては必ず契約時に口頭で説明しなさいというやつです。

 

・退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが原則であること

・入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが原則であること

・賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項

・修繕及び維持管理等に関する連絡先

 

以上の事を説明するということは、これが基本的には効力の強い法律みたいなものになるということです。

 

先程、「契約書で定めたルールが優先!」という話をしましたが東京の不動産賃貸では以上の事を説明している以上、「通常使用・経年劣化による汚れや破損を入居者負担にすることは原則としてできない」ということになりますね。

 

東京ルールの注意点!!

一つ注意点としては、このルールは「宅地建物取引業者が媒介または代理を行う物件」が対象であるということです。

いま、結構流行ってきていますが大家さんと直接契約の場合などは以上のようなルールは適用になりませんので気をつけて下さい。

 

関西編:不動産業界の悪しき風習「敷引き特約」

関西の方では結構普通みたいですが、特約で「預かった敷金で原状回復します。もしそれで余ったら余った分だけ返金します」というルールです。

つまり、何かしらの項目でウヤムヤにしながら原状回復費用をふんだくります!みたいな感じですね。

ココらへんは「特約」での追記になりますので、契約前に交渉出来る方はしてみると良いと思います。

まだ、「クリーニング費用一律3万」とかのほうが良心的に見えます。

 

 

【原状回復ガイドライン③】知っておかないと騙される重要知識4点

意外と分かっていない原状回復の定義

賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」

 

通常使用と経年劣化

オーナー負担
日焼けなどによる壁紙クロスの変色
下地ボードの張替が不要な範囲の穴(画鋲やピンによるもの)
家具の設置などによる床やカーペットのへこみ
冷蔵庫の後ろなどの壁紙の汚れ
経年劣化による故障
通常使用の範囲内のタイルのカビ等

 

入居者負担
手入れ不足による拡大した壁紙クロスのカビやシミ
ネジや釘穴など下地ボートの張替が必要な破損
手入れ不足によるカビやシミ(飲み物をこぼして放置した等)
通常使用の範囲を超える油汚れやスス汚れ
給湯器を空焚きして壊してしまったなどの場合

 

耐用年数と入居年数

 

原状回復ガイドラインの耐用年数に関して

 

絶対見るべき特約

 

・特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

・賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること

・賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

 

 

【原状回復ガイドライン④】退去費用を少しでも安くしたい方へ

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トラブルの判断・解決方法の提案は国民生活センターに相談

国民生活センターのサイトの画面

 

原状回復費用や敷金返還トラブルの話を聞いてほしい、法律の観点から見て妥当かどうかを判断してほしい等の場合は国民生活センターに相談するのもひとつです。国民生活センターではトラブルの解決方法の提案などを行うことができます。