不動産賃貸業界に激震!仲介手数料の返還が認められた判決

そもそも仲介手数料とは?正確な意味

を勉強する女性

大家さんの持っている空き物件と部屋を探している入居者を結びつける(仲介)することで発生する手数料を仲介手数料といいます。

例えば、結婚相談所で男女の中を引っ付ける恋のキューピットも実際に男女交際に発展した際には費用が発生し、それも仲介手数料といって良いと思います。

賃貸の場合は、部屋を借りる際に賃貸借契約を結ぶ必要がありますが、その際に入居者の条件に合う部屋を探してきて、内見行って、申込みをして、審査をして、、、、という一連の作業を行ってくれるお手数料と言ってもいいと思いますが。

 

仲介手数料っていくらもらっていいの?

不動産取引(賃貸も含む)には、取引時に誰かが損しないように不動産取引のためだけのルール(宅建業法)が存在します。

その宅建業法で、仲介手数料もいくら貰えるか実は決まっています。

宅建業法は国土交通省によって以下のように定められています。

貸借の媒介に関する報酬の額

宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(中略)の一月分に相当する金額以内とする。

なんか難しい、、、、要は、仲介業者は一つの賃貸の仲介でもらえる報酬(仲介手数料)は、賃料の1ヶ月分が上限ということです。

 

「今回、わたしに本当にピッタリの物件を紹介してくれたから、賃料の2ヶ月分の仲介手数料をとっていいですよ!」と言われても受け取れません!

上限は1ヶ月分です!

では、この1ヶ月分は誰からもらうのでしょうか?入居者でしょうか?大家さんでしょうか?

 

 

仲介手数料の間違った考え方と不動産業界の闇

不動産屋で電話する写真

実は、先程の宅建業業法の条文には以下のように続きがあります。

この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の二分の一に相当する金額以内とする。

要は、何も了承を得ていなければ、原則は「大家さん」「入居者」のそれぞれから0.5ヶ月分の仲介手数料をもらうこととするということです。

 

確かに、先述したように、仲介手数料は「大家さん」と「入居者」の仲介なんですから、両方から手数料をもらうのが普通です。

なのに、今は「入居者が1ヶ月分仲介手数料として仲介業者へ払う」ということが普通になっています。

 

では、なぜ宅建業法で決められているのに、今は当たり前のように「入居者から1ヶ月分の手数料」が今普通にまかり通っているのか。

 

ここでポイントになってくるのは、上記条文の「当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の二分の一に相当する金額以内とする。」の部分になります。

もっというと、「当該依頼者の承諾を得ている場合」とはいったい何を持って言っているのでしょうか。

 

不動産業界の悪しき風習と「承諾」の解釈

仲介手数料がいくら明確になるのはいつでしょうか?

おそらく、多くの場合は賃貸契約時に発生する初期費用ですよね。(仲介手数料◯◯円!と広告打っているところは、その広告を見た際)

その初期費用の見積書を見せた際に、その初期費用をお客さんが了承すると、それを「承諾」としてきました。

「ウチは仲介手数料は賃料の1ヶ月分です」という説明にはなると思います。

わざわざ仲介手数料に関して、先述した「宅建業法の第46条において・・・・・・・のようにかいてありますので、、、」なんて説明しても契約者側はピンと来ません。

では、どうすることが正解なの?となると思います。

 

本来の必要な「承諾」とは

ガッチリと握手を交わす写真

要は、相手にわかりやすく条文を説明し(意味を理解してもらう)、了承を得ないといけないということです。

具体的には、「原則として、大家さんと入居者の両方から賃料の半月分の仲介手数料をもらうことになりますが、今回はあなた(入居者)から1ヶ月分もらっていいですか?」という必要があるということです。

こんなの言われたら入居者は「いやいや」となりますよね。

絶対にスムーズに契約は進みません。かなり現実的ではありません。

そのため、詳しい説明はせずに「1ヶ月分仲介手数料くださいね?」で「了承」はもらって、入居者から1ヶ月分の仲介手数料をもらっているということです。

 

グレーですが、宅建業法には触れていません。(というか、暗黙のルールでこれはOKとされている)

しかし、上記のルールが場合によってはNGになるという判例がこの度出てきたのです!

 

 

仲介手数料を後から返してもらえた判決が!

実は上記のような矛盾をそのまま裁判所に訴えた輩がいらっしゃいます。(敬語)

どういうことかと言うと、

「仲介手数料は初期費用の請求書に一方的に書かれていたことであり、しっかりした説明(本来は大家さんと入居者で0.5ヶ月分ずつ負担だけど今回は入居者負担だということ)の上で了承したわけではない!仲介手数料を1ヶ月分払ったが半月分返せ!」

という訴えです。

 

この主張が認められ仲介業者は「0.5ヶ月分の仲介手数料返還」を言い渡されたということです。

毎日新聞の記事の抜粋を詳細として以下に記載します。

賃貸住宅の仲介手数料は原則0.5カ月分 手数料の一部返還認める 東京地裁

賃貸住宅を借りた際に、家賃1カ月分の仲介手数料を支払った借り主の男性が「原則は賃料0.5カ月分だ」として、仲介業者の東急リバブル(本社・東京都渋谷区)に手数料の一部返還を求めた訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は「業者が男性から承諾を得ていなかった」として男性の請求を認めた。

 

なるほど、以上の判決が通ったということは、おそらく今まで1ヶ月分の仲介手数料を払った方は、裁判を起こせば半月分返還請求は認められる可能性がめちゃくちゃ高いということです。

ただし、裁判を起こしたりするとその分お金が必要ですし、労力もかかりますので割に合いません。

そのため訴訟をして仲介手数料返還を求める方はほとんどいないと思います。

 

今後の不動産仲介業にどういった影響がある?

正直、不動産業者の姿勢は全く変わらないと思いますが、大きな影響があるとすると「仲介手数料を値切られる可能性が高まる」ということです。

今までは、「仲介手数料1ヶ月分」というのが当たり前だったので「交渉してみよう・値切ろう」という方もほとんどいなかったと思います。

 

なんて交渉すればいいの?

おそらく、一言「仲介手数料は安くなりませんか?」といってみましょう。

せっかく連絡をまめに取り合い、内見までこぎつけてして時間も使ったのに、「仲介手数料やすくならないなら他の業者にお願いします、バイバイ」と言われてお客さんが逃げていくほうが損だから、安くなる可能性の方が高いです。

意外と仲介業者を変えることも知らない方が多いですが可能です!詳しくは「賃貸『仲介業者を変えたいです…』可能?不可能?注意点など徹底解説!!」も参考にしてみて下さい。

 

仲介手数料を半額にしても、利益がでるので全然交渉の余地はあると考えていていいと思います。

※私なら、「仲介手数料ゼロ円でお願いしゃす」と言いますが、、、、笑(仲介手数料ゼロ円でも利益出ます。私経由であればほとんどの物件を仲介手数料ゼロ円で紹介できます)

 

仲介手数料というのは本当に奥が深いです。

入居者から知らずむしり取るというのが結構普通と考えられている異常な業界なので気をつけて下さい。